この記事の結論
「どうやったら早く治りますか?」「つぶした方がいいですか?」——口内炎で来院された方に、よく聞かれることです。先に答えを書きます。
- ふつうの口内炎(アフタ)は、何もしなくても1〜2週間で消えます[1]
- 2週間たっても消えないときは、歯医者へ行ってください。口内炎に似た、別の病気のことがあります。がんや、がんになる可能性のある病変、全身の病気の一部のこともあります[2][1]
- 何科か迷ったら、歯科です。口の中の粘膜の病気は、歯科・口腔外科の守備範囲です[1]
- しこりがある、出血する、白や赤の部分がある、大きくなっているときは、2週間を待たずに受診してください[2][3]
- 早く楽にしたいときは、ステロイドの入った塗り薬や貼り薬で、痛みが和らぎ、治るまでの期間が短くなることが分かっています[4]。ただし、市販薬を5日使っても良くならなければ、使うのをやめて受診してください[5]
- つぶさないでください。口内炎は水ぶくれではなく、粘膜が浅くえぐれた傷です[1]
この記事では、ふつうの口内炎の特徴とできる理由、受診の目安になる「2週間」、口内炎に似た別の病気、何科に行けばいいか、自分でできること(早く楽にする方法・栄養の補い方)を書きます。文中の[番号]は記事末尾の参考文献です。
ふつうの口内炎(アフタ)とは
いわゆる「口内炎」の多くは、アフタと呼ばれるものです。
- 直径数ミリの、丸くて浅い傷(潰瘍)
- 表面は白っぽい〜黄色っぽい膜でおおわれ、まわりが赤い
- 食べ物や歯ブラシが少し触れただけで、ズキッと痛む
- 辛いもの、熱いもの、塩辛いものがしみる
こうした口内炎は、何もしなくても1〜2週間で消えます[1]。研究をまとめた報告でも、多くは10mm未満で、7〜10日ほどで跡を残さずに治るとされています。ただ、1割ほどの人は10mmを超える大きなものができ、跡が残ることもあります[6]。
なぜできるの?
はっきりした原因は、分かっていません。かんだ傷や歯ブラシなどの刺激、体質、ひどい疲れ、ストレス、栄養の偏りなど、いろいろなことが重なって起きると考えられています[1]。
口内炎を繰り返す人は、血液検査でビタミンB12や鉄の不足、貧血が見つかることが多い、という研究のまとめもあります[7]。補い方は、下の「栄養を補うなら」に書きました。
2週間が目安。それを過ぎたら歯医者へ
ふつうの口内炎は、基本的に2週間で消えます。2週間たっても消えないときは、口内炎ではない、別の病気を疑います。
日本では、自治体の口腔がんのセルフチェックでも「口内炎が2週間以上治らない」ときは、早めに歯科医療機関へ相談するよう呼びかけています[2]。
イギリスのガイドラインでは、原因の分からない口の中の潰瘍が3週間を超えて続く場合に、がんを疑って専門の医療機関への紹介を検討する、としています[3]。日本の目安より少し長めですが、どちらも「長引く口内炎は、見てもらう」という点は同じです。私は、2週間を目安にしてよいと考えています。
口内炎に似た、別の病気
口腔外科にいると、「口内炎だと思っていたら、別の病気だった」という方は珍しくありません。代表的なものを挙げます。
白板症や扁平苔癬のように、すぐにがんではなくても、将来がんになる可能性がある病変もあります。国際的な専門家の会議は、こうした病変をまとめて「口腔潜在的悪性疾患」と呼び、口のがんになるリスクが高いとしています[9]。白板症は長い年月をかけてがん化することもあるので、長く経過を見ていく必要があります[1]。
口腔がんは、早く見つかれば治療できる病気です。見つかるのが遅れると、大がかりな治療が必要になり、食事や会話に大きな影響が残ることがあります[2]。
何科に行けばいい? 歯医者です
口内炎で迷ったら、歯医者に行ってください。口の中の粘膜の病気は、歯科・口腔外科が専門に扱う分野です[1]。自治体の呼びかけでも、相談先は歯科医療機関とされています[2]。
まずは、近くの歯科医院でかまいません。詳しい検査が必要なときは、大学病院や総合病院の口腔外科を紹介してもらえます。
歯医者が苦手な方は、歯医者が怖い、何年も行っていない人へ。怒られる? 麻酔は効く? 歯科医師が本音で答える、怖さを減らす方法と静脈内鎮静法も読んでみてください。
歯医者で見ていること、伝えてほしいこと
診察では、見る・触る(硬さやしこりがないか)はもちろんですが、私は経過を聞くことを大事にしています。いつからあるのか、大きくなっているのか、何度も繰り返しているのか、です。
受診するときは、次のことを伝えてもらえると助かります。
- いつからあるか
- 大きさや痛みが、変わってきたか
- 前にもできたことがあるか(繰り返しているか)
- 目、皮膚、陰部など、口以外に症状があるか
- たばこ、お酒
- 当たっている歯や入れ歯がないか
- 飲んでいる薬
がんが疑われたときの検査の順番
がんなどの悪い病気が疑われる場合、組織を取って調べる検査(生検)は、最後に行うことが多いです。表面の細胞をこすって調べる検査(細胞診)を先にすることはありますが、まず超音波、CT、MRI、PET-CTなどの画像の検査で広がりを確かめてから、生検に進みます。
紹介先ですぐに組織を取らないのは、順番があるからです。検査が続いても、不安に思わなくて大丈夫です。
自分でできること
私が口内炎になったとき
私自身は、口内炎ができたら、まずよく寝ます。ビタミン剤をとって、様子を見ます。気になるときは、ステロイドの入った貼り薬を使います。
早く楽にするには
ステロイドの入った塗り薬や貼り薬は、痛みを減らし、治るまでの期間を短くすることが、研究のまとめで一貫して示されています。ただし、口内炎の再発を防ぐ効果は、はっきりしていません[4]。のみ薬については、効果がはっきり確かめられた治療はまだありません[13]。
市販のステロイドの口内炎薬には、注意点があります[5]。
- 5日使っても良くならないとき、1〜2日で悪くなったときは、使うのをやめて受診する
- 次のような場合は使わない(カビや細菌、ウイルスによるものの可能性がある)
- ガーゼで拭うと取れる白い斑点が、口の中全体に広がっている
- 黄色い膿がある
- 小さな水ぶくれがたくさんある、唇や皮膚にも水ぶくれがある
- 熱、だるさ、リンパ節の腫れがある
ステロイドの薬は、薬局で相談してから選んでください。
食べ物で気をつけること
しみるもの(辛いもの、酸っぱいもの、熱いもの、塩辛いもの)や、硬いものは、治るまで控えた方が楽です[1]。栄養が偏らないようにすることも大切です[1]。
栄養を補うなら
口内炎を繰り返す人は、ビタミンB12や鉄、葉酸の不足や貧血があることが多いと分かっています[7][14]。研究のまとめでは、検査で不足が見つかったら、それを補うことが予防につながる可能性があるとしています[14]。
補う方法についての研究は、次のとおりです。
- ビタミンB12: 7つのランダム化比較試験をまとめた報告では、口内炎が減ったという結果が多く出ています。ただし、どの試験も小規模で、結論は暫定的です[15]
- 亜鉛: 7つの試験をまとめた報告では、5つで再発が減りました。さらに確かめる研究が必要とされています[16]
- 総合ビタミン剤: 毎日飲み続けても、口内炎の回数や続く日数は変わらなかったという結果です[15]
サプリメントを使うときの注意です。
- 亜鉛は、とりすぎると吐き気やめまいが起き、長く続けると銅の不足などにつながることがあります[20]
- 葉酸をサプリでたくさんとると、ビタミンB12の不足が見落とされることがあります[19]
- ビタミンB12は、多めにとっても害はないとされていますが、飲んでいる薬との飲み合わせに注意が必要なことがあります[17]
不足しているかどうかは、血液検査で分かります。何度も繰り返す人は、自己判断でサプリメントを足していく前に、一度調べてもらうのがおすすめです。
市販のビタミン剤を使うなら
口内炎の症状をやわらげることを効能・効果にもつ、市販のビタミン剤もあります。たとえばチョコラBBプラスは、ビタミンB2を中心に、B6やB1などを含む第3類医薬品です[21]。私自身も、口内炎ができたときはビタミン剤をとって様子を見ています。
ただ、正直に書いておくと、ビタミンB2やB6のビタミン剤で口内炎が早く治るか、できにくくなるかを、きちんと確かめた研究はほとんどありません。いろいろなビタミンをまとめてとる総合ビタミン剤では、口内炎の回数や続く日数は変わりませんでした[15]。「つらいときに試してみるもの」くらいに考えてください。
こんな使い方は勧めません
- 2週間たっても消えない口内炎や、しこり・出血のある口内炎を、ビタミン剤を飲みながら様子を見続ける
- 何度も繰り返すのに、原因(栄養の不足など)を調べずに飲み続ける
- 1か月ほど飲んでも良くならないのに続ける(メーカーも、医師や薬剤師に相談するよう案内しています)[21]
15歳未満は服用できません。発疹、胃の不快感、下痢が出たら、飲むのをやめて相談してください。尿が黄色くなることがありますが、ビタミンB2によるもので心配はいらないとされています[21]。
つぶさない
口内炎は、水ぶくれではなく、粘膜が浅くえぐれた傷です[1]。つぶすものではありません。舌で触ったり、いじったりすると、それ自体が刺激になります。
受診の目安
入れ歯や被せ物が当たっている場合は、調整すれば楽になることがあります。合わない詰め物・被せ物については、詰め物・被せ物が取れたら、捨てずに持って歯科へ。歯科医師が本音で書く、受診までにやることと「付け直し・作り直し」の分かれ目にも書きました。
よくある質問
Q. どうやったら早く治りますか?
A. ステロイドの入った塗り薬や貼り薬で、痛みが和らぎ、治るまでの期間が短くなることが分かっています[4]。よく休むことも大切です。市販薬を5日使っても良くならないときは、使うのをやめて歯科を受診してください[5]。
Q. 何を食べたらいいですか?
A. 治るまでは、辛いもの、酸っぱいもの、熱いもの、塩辛いもの、硬いものを控えると楽です。栄養が偏らない食事を心がけてください。繰り返す人は、ビタミンB12(あさり、牡蠣、レバー、魚、卵など)や鉄(レバー、赤身の肉や魚、小松菜など)が不足していないか、血液検査で調べてもらうのもよいと思います。
Q. 口内炎は、なんでできるんですか?
A. はっきりした原因は分かっていません。かんだ傷などの刺激、体質、ひどい疲れ、ストレス、栄養の偏りなどが重なって起きると考えられています[1]。
Q. つぶした方が早く治りますか?
A. つぶさないでください。口内炎は水ぶくれではなく、粘膜が浅くえぐれた傷です。触ったりいじったりすると、刺激になります。
Q. 口内炎は何科に行けばいいですか?
A. 歯科です。口の中の粘膜の病気は、歯科・口腔外科が専門に扱います。2週間たっても消えないとき、しこりや出血があるときは、早めに受診してください。
この記事を書いた人
現役の歯科医師です。歯科医師として5年以上、口腔外科を中心に診療しています。口腔外科では、「口内炎だと思っていた」という方が、別の病気だったことが珍しくありません。長引く口内炎は、一人で様子を見続けず、歯医者に見せてください。
この記事で紹介したビタミン剤は一例です。リンクから購入されると当サイトに紹介料が入りますが、同じ成分のほかの製品でもかまいません。
参考文献
- 日本口腔外科学会. 口腔外科で扱う主な病気: 口腔粘膜疾患(2026年10月閲覧). リンク
- 名古屋市. 口のがん(口腔がん)のセルフチェック. 2025年10月21日更新. リンク
- National Institute for Health and Care Excellence. Suspected cancer: recognition and referral (NG12). 2015(2026年4月更新). リンク
- Al-Aizari NA, Al-Shamiri HM, AlShehri BK, et al. Evidence-based recommendations for the treatment of recurrent aphthous stomatitis: insights from an umbrella review. J Dermatolog Treat. 2026;37(1):2622245. DOI
- 佐藤製薬. アフタッチA 添付文書(PMDA 一般用医薬品 添付文書情報). リンク
- Staines K, Greenwood M. Aphthous ulcers (recurrent). BMJ Clin Evid. 2015;2015:1303. リンク
- Mousavi T, Jalali H, Moosazadeh M. Hematological parameters in patients with recurrent Aphthous Stomatitis: a systematic review and meta-analysis. BMC Oral Health. 2024;24(1):339. DOI
- 日本口腔外科学会. 口腔外科で扱う主な病気: 悪性腫瘍(2026年10月閲覧). リンク
- Warnakulasuriya S, Kujan O, Aguirre-Urizar JM, et al. Oral potentially malignant disorders: A consensus report from an international seminar on nomenclature and classification, convened by the WHO Collaborating Centre for Oral Cancer. Oral Dis. 2021;27(8):1862-1880. DOI
- 難病情報センター. ベーチェット病(指定難病56)(2026年10月閲覧). リンク
- 難病情報センター. 天疱瘡(指定難病35)(2026年10月閲覧). リンク
- 難病情報センター. 類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む。)(指定難病162)(2026年10月閲覧). リンク
- Brocklehurst P, Tickle M, Glenny AM, et al. Systemic interventions for recurrent aphthous stomatitis (mouth ulcers). Cochrane Database Syst Rev. 2012;(9):CD005411. DOI
- Chen H, Sui Q, Chen Y, Ge L, Lin M. Impact of haematologic deficiencies on recurrent aphthous ulceration: a meta-analysis. Br Dent J. 2015;218(4):E8. DOI
- Taleb R, Hafez B, El Kassir N, El Achkar H, Mourad M. Role of vitamin B12 in treating recurrent aphthous stomatitis: A review. Int J Vitam Nutr Res. 2022;92(5-6):423-430. DOI
- Halboub E, Al-Maweri SA, Parveen S, et al. Zinc supplementation for prevention and management of recurrent aphthous stomatitis: a systematic review. J Trace Elem Med Biol. 2021;68:126811. DOI
- 厚生労働省 eJIM. ビタミンB12[サプリメント・ビタミン・ミネラル – 一般](2026年10月閲覧). リンク
- 厚生労働省 e-ヘルスネット. 鉄. 2025年12月1日更新. リンク
- 厚生労働省 eJIM. 葉酸・葉酸塩[サプリメント・ビタミン・ミネラル – 一般](2026年10月閲覧). リンク
- 厚生労働省 eJIM. 亜鉛[サプリメント・ビタミン・ミネラル – 一般](2026年10月閲覧). リンク
- エーザイ. チョコラBBプラス 製品情報(2026年10月閲覧). リンク


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